AIで終活!?意外なメリットをご紹介

新しい終活のかたち

命には始まりがあり、終わりがあります。
これは地球上、どのような動植物であっても同じ原理を持っており、これを避けることはできません。

近年、こうしたライフサイクルをより合理的に捉え、生きている者に適切な命のバトンを渡せるよう、生前にあらゆる身辺整理や情報伝達を行っておくという活動が注目され始めています。

いわゆる「終活」と呼ばれる活動です。

終活の目的は、主に3つの面が存在します。

まずは、金銭面です。
大小問わずに資産を持つ場合、自分の死後にこの資産が相続争いを引き起こす、あるいはそれが借金の場合は新たな負担を周囲に生じさせる危険性があります。
こうした金銭問題を回避する為に、遺産相続書類の作成や法務整理を行っておくのです。

その次は活動面です。
自分が現役で担っている役割や活動がある場合、それを誰かに引き継いでおく必要があります。自分だけしか分からない知見や経験がある場合は、次世代にとって引き継ぎがとても重要な意味を持ちます。

そして、3点目が供養面です。
遺される人々にとって、これは金銭や活動以上に重要な事かもしれません。
というのは、多くの場合、遺される周囲の人々は葬儀や埋葬に関する情報を調べてはいません。先祖代々のしきたりや確固たる宗教をお持ちの方もいらっしゃいますが、ほとんどの方はそうした知識や方法に通じていないはずです。
特に近年は核家族化や少子高齢化の影響で、供養に関する情報が散逸する傾向にあります。そこで、終活をされる方は生前に「このように葬式を取り計らって、こうして埋葬して欲しい」という事を予め決める事で、遺された人々の負担を減らしてあげようとするのです。

この供養の分野に「対話AI」が徐々に関わり始めている事は、あまり知られていません。
これまで、私たちは「逝去したらお墓に納骨される」という伝統を受け継いで来ました。
しかし、お墓の維持管理に関する労力の問題や金銭的な問題もあり、近年、こうした価値観も徐々に見直されつつあり、社会からは新しい供養方法と価値観のニーズが生じています。
こうした経緯で共同墓地のような新しい供養の方法も浸透する中で、更に一歩進み、現実のお墓の代わりにAI技術を活用したバーチャル空間の墓地を運営するという方法も模索が続けられているのです。

例えば、東京藝術大学発のベンチャーeach toneが2020年5月に、会員制バーチャル墓地サービス「viz PRiZMA(ヴィーズ プリズマ)」を発表しています。
ここでは終活を行っている会員の虹彩データからアート作品を創り、これをバーチャル空間に保存するという方法が用いられています。また、声や身体の動きの特徴なども収集するとしています。家族らはバーチャル墓地に収録されたそれらの故人の情報と相対し、静かに供養をするという事になります。

故人の情報は外部の改ざんを防がねばなりませんので、そこに改ざんが不可能なブロックチェーン技術が適用されます。ブロックチェーン技術は仮想通貨の根本原理として用いられているもので、AI技術とも強い補完関係を持つ技術です。

このような新たな納骨堂の試みは、AI技術の発展と普及に伴って、更に様々な形態が生まれるものと予見されます。

弊社が開発に携わる対話AI「DeepAICopy」も、このような新しい魂の取り組みに参画する可能性を持つプログラムです。

「DeepAICopy」は実在する人間の容姿・声・仕草などの情報を取り込み、これをAIに反映する事によって、自然なコミュニケーションを行えるような映像・音声を自動生成する事が出来ます。
つまり、「その人そっくりに話して動く」という映像を紡ぎ出す事が出来るのです。
これを先ほどの供養分野に適用するのであれば、お墓の代わりとなる存在をバーチャル空間に作り出す事が出来ます。

この「DeepAICopy」は、生前の人間と会話をしているような感覚が得られます。
SF映画のような話ですが、弊社ではこうした新しい文化や価値観も受容するべき時が来ているのではないかと考えています。
生命の尊厳を鑑みて抵抗感を覚える方もいるでしょうし、まだこの分野には議論が必要だと思われますが、「供養」という行為において何よりも大切なのは「遺された者の気持ち」です。
遺された者の魂が癒されるのなら、このようなAI技術を介した供養の方法も、新しい時代に向けて検討されるべき事項であると思われます。

AIが魂を癒してくれるような日が、徐々に近づいています。弊社の対話AIがどこまで葬祭の分野に関われるのか。命の在り方と向き合いながら、模索を続けています。

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